2013年3月28日

ごあいさつ

慶應義塾大学環境情報学部
学部長・教授 村井純

マルチメディア放送ビジネスフォーラム第6期の発足、おめでとうございます。第一期がスタートした2005年より、特別顧問を務めております村井です。本日は出席できず申し訳ございません。

地デジ化で空く周波数「VHF」をデジタルラジオ用に使うという方針が出て、既に10年以上が経過しました。その間に、日本を取り巻くICT環境は大きく変化し続けました。テレビのデジタル化が完成した今、社会全体がデジタル情報の基盤を利用して大きく飛躍し続けています。その変化は誰も予想できないほどのスピードだと思います。

光ファイバーやWi-Fiそして、スマートフォンのための高速データ通信のインフラが急速に整備される一方、デジタル化された放送波も新しい使命を目指して進化を始めています。
情報の空間では面白いことが起こっています。インターネットが生み出した「サイバー空間」「バーチャル空間」と、私達が現実に生活している「実空間」の融合です。「サイバー空間」は、80年台のSF小説によって注目された、インターネットの中にある時空間を超えた空間として面白がられました。30年を経て、インターネットはすっかり私たちの生活の一部となり、実空間は、サイバー空間とくっついてしまったのです。今はこれが面白いと言われています。

技術的には、この融合は、まず位置情報から始まりました。カーナビは、車の常備品になりました。スマートフォンの地図アプリは、近所のレストランをすぐに教えてくれます。SNSで友人がどこにいるかも、写真がどこで撮られたかも自動的に記録され、面白くなってきました。時空間を超えたネットワークで流通するデータに「位置」がついたのです。GPS(測位衛星)などのおかげですね。

しかし、本当の面白さは、これからです。時空間の「時」の出番です。時の流れを魔法のようにあやつるのは、放送ですよね。人のライフスタイル、生活と共にある放送波のデジタル利用は、全く新しいデジタルメディアの世界を作り始めます。マルチメディア放送ビジネスフォーラムの先駆的な挑戦は、放送で時を同期する、新しい時空間を創造することです。
本日お集まりの方々が、この新しい世界のパイオニアとなって第6期のスタートを切ることに大きな期待をさせていただくと共に、心からお祝いを申し上げます。